「あ」
三つの声が重なった。
一つ目、自室の戸を開けた俺の声。二つ目、装束を乱して床に仰向けになった伊作の声。三つ目、その伊作に跨って首筋に顔を近付けているの声。
――こんな昼間っから何をしてんだ、こいつらは!
「お前ら、なあ……!」
「うわあ!留三郎!」
ふつふつとこみ上げてくる怒りに任せて拳を握った。
それに気付いたらしい伊作は、を押し退けて飛び起きると何度か躓きながら俺に近付いてきた。
「違う!違うんだ!」
「なあにが、違うんだ、だ!馬鹿野郎!」
「事情ってものがあってね!」
「そんなの、知るか!」
「ちょっと!聞いてよ!」
弁解に必死なのか、装束を掴んでくる伊作はすごく鬱陶しい。あと、顔がすごく近い。
「うるせえ!あと、ちけえんだよ!離れろ!鬱陶しい!」
「酷いよ!留三郎!」
横目に、伊作に退かされたがそのまま大人しく座っているのが見えた。
俺と伊作のやりとりをぼんやりと眺めている。
「お前も!なんか言うことねえのか!」
は、自分は関係ないみたいな顔をしているが、お前も当事者なんだぞ。わかってんのか。
が緩慢に首を傾げた。
「なにが?」
――もう、いい。
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