幸村くんって、優しいし、格好良いし!
もう言うことなしだよね!
「いや、確かに顔はいいけどさ。あの笑顔は何考えてるかわからないよね。優しい?真田を見てみなよ。みんな眼科行った方がいいんじゃないかな。ね、そう思いませんか、柳さん」
「…、聞こえるぞ」
「わざと言ってんの」
なんでこんな悪態を着いてるのかというと、あそこでにこにこしながらチョコもらってる男が原因。
さすが立海No.1。
貰うチョコの数が半端じゃありません。
さっきっからひっきりなしにお呼び出し。
朝学校にくれば机の上にはお供え物の山。
こんな男にお供えしても何のご利益もないと思うんだけど。
「神様か」
「むしろ魔王様で」
「魔王だなんて、ひどい言われようだなー」
「、あれ、もういいの?」
うん、と言う幸村の両手のは大量のチョコ。
今年も大漁ですな!
去年は確か…125個、だっけ。
もうそれ以上あるんじゃないの?
まったく、どんだけ貰うんだ。
「あ、そうだ、」
「なーにー、」
「甘いもの、好きだったよね」
「大好きですよー」
「じゃあもらってよ」
え、いや、うん。
ずいっと差し出されたのは大量のチョコレート。
甘いものはもちろん、チョコも好きだけどね?
これって思いっきりもらったやつだと思うんだけど。
いいんですか、幸村さん。
「いいんだよ。のためにもらったんだし」
「…ありがとう?」
「うん。それに、チョコはがくれるからね」
「な、」
「あるんだろ?」
ばれてるし!
確かに用意はしてあるけどさ。
にこにこと無言の圧力に耐えられるわけもなく。
くそう。
「お、お納めください」
「ふふっ、ありがとう。他にはないの?」
「ななな、ない、よ!」
もうなんなの。
しかも他ってなに。
え、もしかして気付いてる?
いやいや、そんなはずない。
今まで態度に出した覚えはないもの。
いくら幸村でも、ねえ?
「ふふっ、ねえ、」
「…な、なんですか、」
「好きだよ?」
最上級の微笑みと予想外の告白。
…それは反則だよ、幸村。
ドルチェの誘惑
(080214)